今回、黒部市下立地区で、思わず足を止めてしまうような趣のある空き家に出会った。
今回は、その一軒の空き家が持つ「涼やかな空気感」と、
そこに遺された「驚くほど豪華な価値」に焦点を当てて紹介する。
天然のクーラーが効いた、先人の知恵が息づく空間
取材に訪れたこの日の外気温は24度。
初夏の陽気を感じる日であったが、一歩足を踏み入れると、室内の温度計は20度を指していた。
エアコンなど一切動いていない。
それなのに、室内にはひんやりと心地よい風が通り抜けている。
これこそが日本の古い家屋が持つ、自然と共生する力なのだろう。
窓を開け放つだけで空気が流れ、外の暑さを忘れる事ができる。
ふと天井を見上げると、そこにはこの快適さの理由があった。
重厚な梁が交差し、その上には今では希少となった木皮(こけら)で葺かれた屋根の裏側が見える。
何十年、あるいはそれ以上の月日を耐えてきた天然素材の断熱効果と、空気の層。
先人たちがこの土地の気候に合わせて作り上げた知恵が、
現代の我々に「本当の心地よさ」を教えてくれているようだった。
158万円という価格が信じられない、豪華な家財の数々
しかし、この物件の真の驚きは、建物の構造だけではない。
一歩奥へ進むごとに目に飛び込んでくるのは、目を見張るほど豪華な家財道具の数々だ。
正直なところ、158万円という物件価格が破格に感じてしまうほどの価値が、この家には詰まっている。
まず目を引くのが、リビングに鎮座する食器棚である。
これほどまでに重厚な「漆塗り」の家具が、ポツンとリビングにあること自体が驚きだ。
独特の深い光沢を放つその棚の中を覗くと、さらに圧倒される。
『ししまいと酒呑みの村』とも称される宇奈月町下立地区らしく、
中にはワイングラスやロックグラスがずらりと並び、なんとウイスキー樽まで鎮座していた(笑)。
この家で、どれほど豊かな祝宴が繰り広げられてきたのか、その歴史が透けて見えるようである。
続いて2階へ上がると、そこにはさらに立派なタンスが並んでいた。
こちらも見事な塗り(漆塗り)が施された、芸術品のような家具だ。
オーナー曰く、「おそらく、かつて嫁入り道具として運び込まれたものではないか」とのこと。
かつて富山の嫁入りは豪華なことで知られていたが、その文化を象徴する逸品である。
『嫁ぎ先を守る』という大役を背負ってこの家にやってきた家具たちが、
今もなお現役の輝きを放ち続けている姿には、目を見張るものがある。
今では手に入らない、日本の美意識の結晶
さらに家の中を探索すると、現代の家ではまずお目にかかれない品々が次々と現れる。
客間に置かれた、緻密な彫刻が施された座卓。塗りの美しさと職人の技が光る。
仏間に目を向ければ、厳かな滝の掛け軸の下に、圧倒的な存在感を放つ大きな牛?の角のオブジェが。
今これと同じものを手に入れようと思えば、一体どれほどの金額になるのだろうか。
さらに、倉庫の奥には使い込まれた火鉢と羽釜があった。
かつて家族の食卓を支え、暖をとってきたこれらの道具がそのまま遺されていることに、
この家の丁寧な暮らしぶりが伺える。
そして床の間には、今にも動き出しそうなほど勇猛な虎の掛け軸。
この家そのものが、一つの美術館であるかのような佇まいである。
継承されるべき、暮らしの記憶
黒部市下立地区で見つけたこの空き家は、単なる『古い建物』ではない。
先人の建築知恵が守ってきた心地よい空気と、この家と共に歩んできた豪華な調度品たちが織りなす、
一つの文化財のようでもある。
これらの素晴らしい家具や、先人の想いが詰まった空間をそのまま受け継ぎ、
新しい息吹を吹き込んでくれる方。
そんな方との出会いを、この家はひっそりと、しかし力強く待っているように感じた。
158万円という金額以上の価値を、
ぜひ一度、現地でその肌に流れる空気と共に感じてみてはいかがだろうか。
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