黒部市愛本地区のメイン通り。
かつて愛本橋から舟見へと抜ける街道として賑わった道沿いに、
今回の舞台となる物件がひっそりと佇んでいる。
敷地を入ると、まず目に飛び込んでくるのが4枚扉の大きな玄関だ。
ガラガラと大きな引き戸を開けて玄関に足を踏み入れると、
左手には「welcome」と彫られた木彫りの置物が置かれている。
昔ながらの日本家屋でありながら、オーナーさんのちょっとした遊び心が垣間見え、
思わず笑みがこぼれる。
さらに視線を巡らせると、壁には「予定表」と書かれた古い黒板が掛けられていた。
当時の家族のスケジュールや日々の営みがそのまま時を止めたかのように残されており、
昭和の暮らしの温もりがダイレクトに伝わってくる。
だが、ここで一度、立ち止まって目線を真上に向けてみてほしい。
今まで感じていたノスタルジックな昭和の雰囲気とは打って変わり、
当時でも相当珍しかったであろう、
こだわり抜かれた壮麗な天井が目に飛び込んでくる。
亀甲模様のような美しい壁紙に囲まれ、
中央の折り上げ天井には優美な植物柄の意匠が施されているのだ。
たかが玄関、されど玄関。
一歩足を踏み入れた瞬間に住む人や訪れる人を魅了するこの天井装飾こそが、
この物件の最大の魅力である。
見栄と芸術が交差する、豪華絢爛な応接室
玄関の感動冷めやらぬまま、右手にある「応接室」へと移動する。
元来、応接室とは“大切な客人を迎え入れるための特別な場”である。
家を建てる施主の立場からすれば、少しでも格調高く、
豪華絢爛に仕上げたいと思うのは至極真っ当な心理だろう。
この物件の応接室もまた、期待を裏切らない豪華絢爛そのものであった。
部屋全体を包み込むこだわり抜かれたクロス、上質な絨毯、趣のある家具。
それぞれが厳選された逸品ばかりだが、この部屋でも例に漏れず、
ぜひ天井を見上げてみてほしい。
そこには「もちろん」と言わんばかりに、華やかなシャンデリアが鎮座していた。
しかし、驚くのはそれだけではない。シャンデリアがただ設置されているのではなく、
天井には緻密な木組みが施され、さらに光を反射させる鏡まで装飾されているのだ。
オーナーさんは「父親がこだわったんやっちゃ~」と謙虚に笑うが、
これはもう単なる“こだわり”の域を超えている。
光と木材が織りなす空間は、
まるで一つの「芸術作品」と感じてしまうほどの圧倒的な存在感を放っていた。
廊下や和室に潜む、職人の「遊び心」と「わびさび」
建物の奥へと進むため、静かな風情が漂う縁側を歩いていく。
ここでもまた例に漏れず、天井に並々ならぬこだわりが潜んでいた。
単に板を渡して仕上げるだけでは飽き足らなかったのだろう。
竹や細木を用いた繊細な装飾が天井一面に施されており、
歩みを進めるたびに目を楽しませてくれる。
縁側を抜けると、奥の和室へとたどり着いた。
この部屋は近年に増築されたらしく、壁や畳も比較的新しく整えられた空間である。
では、この和室の天井も見上げてみよう。
見上げた瞬間、またしても意表を突かれた。
華やかなシャンデリアや洋風の装飾が施された他の部屋と比べると、
色合いや可憐さという点では控えめに見えるかもしれない。
しかし、そこには和室ならではの趣があった。
木材を放射状かつ立体的に組み上げて作られた、
まさに「わびさび」を感じさせる洗練されたデザインが広がっていたのだ。
派手さではなく、素材と構造の美しさで魅せる。
これもまた、この家を建てた先代の深いこだわりなのだろう。
細部にまで宿る意匠、暮らしに彩りを与える家
旅の最後は、2階へと通じる階段・廊下スペースだ。
ここにもまた、誰もが驚くこだわりの天井が待っていた。
なんと、この家で2つ目となる美しいシャンデリアが姿を現したのだ。
そして応接室と同様、ただシャンデリアをぽつんと吊るしているわけではない。
天井にはタイル調の板が隙間なく貼られているのだが、
よーく目を凝らして観察してみてほしい。
なんと、一枚一枚の板に繊細な模様が刻まれているのだ。
「本当に芸が細かい(笑)」と思わずツッコミを入れたくなってしまうほどの職人技である。
しかし、こういった見落としてしまいそうな細部にまで注がれた情熱と遊び心こそが、
住む人の心を躍らせ、毎日の暮らしに豊かな楽しみを与えてくれるのではないだろうか。
部屋を巡るたびに新しい発見があり、天井を見上げるたびに感動が生まれる。
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