今回の物件は、以前一度ブログ記事で紹介したことがある。
実は、何を隠そう筆者が昨年まで実際に住んでいた物件だ。
この家を離れて約半年。
少し客観的にこの建物を眺められるようになった今、改めて暮らしたからこそ分かるこの物件のリアルな魅力と、次の入居者へ向けた思い出話を語ってみたい。
人が集まる、開かれた特等席――玄関
ここは黒部市の下立(おりたて)地区2区。
その集落の中でも、比較的大きな道路が交わる三叉路(分かれ目)のちょうど中心にこの家は位置している。いわば、地域の中で最も人通りの集中する場所だ。
そんな場所に向かってどっしりと開かれた玄関は、筆者が住んでいた頃、よく地元住民との歓談の場になっていた。
「犬の散歩で前を通ったから」
「畑で取れた野菜を持ってきたよ」
「家の草むしりをしていて少し疲れたから、休憩させて」
そんな他愛もない理由で、近所の方々が自然とこの玄関に集まり、
気がつけば1時間ほど楽しそうに談笑していく。そんな温かい日常がここにはあった。
昔ながらの造りということもあり、土間は非常に広い。
そして何より特徴的なのが、一段高くなった「上がり框(かまち)」である。
いつしかそこが、集まった人たちの腰掛け、つまり即席の「ベンチ」の役割を果たしていた。
外と中を緩やかにつなぐこの空間は、地域の温かさを肌で感じられる一番の特等席だった。
すべてが完結する暮らしの中心――居間
広い玄関から一歩中に入れば、そこは完全に筆者のプライベートな空間だった。
引き戸の先にある正面の居間は、筆者が日々の生活の大半を過ごした、最も愛着のある場所である。
この部屋に置いた机をひとつ中心に据え、
仕事をするのも、
ご飯を食べるのも、
すべてを完結できるように工夫して生活していた。
畳の心地よさに包まれながら、手の届く範囲に必要なものを揃えて過ごす時間は、
不思議と落ち着きと高い集中力をもたらしてくれたものである。
田舎の贅沢な風が抜ける特等席――縁側
この家には、いまの住宅ではなかなかお目にかかれない立派な「縁側」もある。
道路に面した側には大きな開口の窓が設けられており、
一度その窓をガラガラと開け放てば、
田舎特有のあの心地よく澄んだ空気が部屋一面に勢いよく入り込んできた。
筆者のここでの一番の日課は、その縁側でご飯を食べることだった。
幸いなことに、近所には「道の駅 宇奈月」がある。
愛犬の散歩がてらそこまで歩いていき、
名物の「宇奈月麦酒(ビール)カレー」をテイクアウトしてくるのだ。
そして、縁側に腰を下ろして風を感じながらスプーンを運ぶ。
そんな贅沢な日常が、当時はどこか当たり前のことになっていた。
古民家らしからぬ”便利ポイント”――近代的な給湯器
家の奥へと進むと、この物件が単なる「古いだけの家」ではないことを証明する、
最大の”便利ポイント”が存在する。それがこの給湯器のパネルだ。
古民家と聞くと水回りの不便さを想像しがちだが、
この物件は現代の快適な設備がしっかりと取り入れられている。
キッチンに昔ながらの剥き出しのガス給湯器がついているわけではない。
お風呂も、水とお湯の2つの蛇口を捻りながら手探りで温度調整するわけでもない。
壁に設置されたこのパネル1つでスマートに温度設定を行い、
いつ何時でもボタン一つで適温のお湯を使うことができる。
この恩恵には、特に底冷えする富山の寒い冬の時期、本当に救われた。
贅沢品ではない、豪雪地帯の生命線――車庫
1階部分には、もうひとつおすすめしたいポイントがある。
それが広々とした「車庫」の存在だ。
富山に移住してくる前、筆者は「車庫」と聞くと、
「車好きの人が愛車を整備する場所」
「盗難されそうな高級車を保管する場所」
といった、生活に必須とまでは言えない”贅沢品”のようなイメージを持っていた。
しかし、ここで暮らした経験から、はっきりと言おう。
「車庫は贅沢品ではなく絶対必須である」と。
下立地区は、黒部市の中では山寄りに位置している。
つまり、黒部市内でも比較的雪の多い地域なのだ。
筆者が住んでいた時期には、最高で170cmほど雪が積もったこともあった。
想像してみてほしい。
その大雪の中に、一晩中車を置いておくとどうなるかを。
また、冬場に通勤で車に乗ると、ほんの20分程度走っただけで、
フロント部分には雪と氷の塊がびっしりと張り付いてしまう。
その状態のまま屋外の駐車場に車を放置すればどうなるか。
答えは明白で、
翌朝には雪と水分が完全に凍りつき、車全体が文字通り「氷漬け」になってしまうのだ。
毎朝の出勤前にそれを解かすのは絶望的な作業である。
しかし、これらの問題は「車庫」があることで解決する。
車庫に入れておけば、朝起きたときには車の熱気で付着していた雪はすっかり解けている。
あとは車庫の前を10分ほど軽く雪かきするだけで、すぐにスムーズに出勤できる。
この快適さを知ってしまった今では、これほどありがたい設備は無いとつくづく実感している。
採光抜群の部屋を、あえて漆黒の秘密基地に――2階の洋間
階段を上がって2階の左手にある部屋。
ここは近年になって綺麗にリフォームが施された、まさに快適そのものの洋間だった。
そのため、筆者はここを完璧な「趣味部屋」としてフル活用していた。
もともとこの部屋は南側に大きな窓が設置されており、
昼間は光が差し込む採光抜群の明るい部屋”だった”のだ…
普通ならその明るさを活かすところだが、
何を血迷ったか、筆者はこの部屋を「映画部屋(シアタールーム)」にすることを決意した。
そのため、せっかくの明るい窓をベニヤ板と支え棒を使って内側からすべて物理的にシャットアウト。
こうして、昼間でも一筋の光すら入らない、
理想の「漆黒の部屋」を完成させてしまったのだ。
大画面のモニターとスピーカーを置き、
誰にも邪魔されないプライベートシネマとして没頭する時間は最高だった。
しかし、この部屋を趣味部屋に選んだ理由は雰囲気だけではない。
ここには比較的新しいエアコンが設置されていたのだ。
この優秀なエアコンのおかげで、
富山の厳しい極寒の冬も、近年の猛暑の夏も、
数え切れないほど快適に乗り越えることができた。
気がつけば、ここが筆者にとって一番の憩いの場になっていた。
おわりに
玄関で見知らぬ近所の人と語り合い、縁側で地域の美味しい空気を吸う。
そんな田舎暮らしの醍醐味を存分に味わえる一方で、
最新の給湯器や大雪から守ってくれる車庫、エアコン付きのリフォーム部屋など、
現代を生きる上での快適性もしっかりと担保されている。
筆者のように趣味全開のカスタマイズを楽しみつつも、
不自由のない快適な暮らしが送れるこの物件。あなたの新しい生活の舞台として、いかがだろうか。







