継承される美学:20代の設計士が描いた理想郷
玄関を抜け、一歩足を踏み入れた瞬間に感じるのは、現代の住宅にはない「密度の濃い静寂」です。
この家の歴史は、現オーナーが20代の頃、自らペンを執って設計図を描いたところから始まりました。
「設計事務所で学んだことを、すべてこの家に注ぎ込みました」
そう語るオーナーの言葉通り、随所に遊び心と機能美が同居しています。
特筆すべきは、親戚の棟梁が「腕の見せ所だ」とばかりに力を尽くした構造の強固さです。
数十年が経過しても、建具は吸い付くように滑らかに開閉し、床の一枚、柱の一本に至るまで、ほぼ狂いがありません。
かつては「白木」の美しさを誇っていた手すりの木部は、
当時の流行が取り入れられていますが、
(近所の建具屋さんのアドバイスだったという…)
によって白く彩られましたが、
その奥に眠る木材の質は、今では手に入れることが困難な一級品です。
日常を彩る「光と影」のステージ
上の写真にある、階段下の不思議な空間に目を向けてください。
深い赤のレンガに囲まれ、白い玉砂利が敷き詰められたその場所は、
かつて観葉植物をライトアップするために設計された『ステージ』です。
「ここに好きな植物を置いて、光を当てる。それだけで家全体の空気が変わるんです」
と、設計者の意図は明確です。
生活動線の中に、ふとした瞬間の「美」を置くこと。
階段を上り下りする際、ふと視界に入る緑と、レンガの重厚な質感。
それは、忙しない日常に句読点を打ってくれるような、贅沢な余白と言えるでしょう。
また、吹き抜けに吊るされたシャンデリアが放つ光は、2階の廊下を優しく照らします。
そこにあるのは、単なる通路ではなく、光が照らす回廊です。
「家具を買う必要がない」という、建築家からの贈り物
この家を訪れる人が驚くのは、その圧倒的な収納力の高さと、それが「作り付け」であるという事実です。
ネクタイやベルト、アクセサリー専用の棚
ロングコートを美しく収めるワードローブ
すべてが、家具職人の手によってこの家の一部として設えられています。
「家具を置かないことで、空間の純度を保つ」という設計思想。
それは、現代の家造りにも通じます。
住み手は、重い箪笥を運び込む苦労から解放され、ただ自分のお気に入りの服や小物を、用意された「特等席」に並べるだけで、
理想の生活をスタートさせることができます。
窓の向こうに広がる、黒部の四季と設計されたプライバシー空間
この家の窓には、地元黒部の「YKK AP」の、当時としては非常に珍しい高機能サッシが採用されています。
開き方ひとつにもこだわりがあり、内側に倒して換気することも、大きく開け放つことも可能です。
設計における最大の妙は、向かいの公民館からの視線を計算し尽くした配置にあります。
「のぞかれないように、でも光は最大限に取り入れる」
この絶妙なバランスが、開放感と安心感を同時に叶えています。
2階の和室やベランダから外を眺めれば、そこには黒部が誇る立山の山々の景色が広がります。
ベランダには、雨を遮る美しいアール状の屋根が設置されており、多少の雨ならば洗濯物が濡れる心配もありません。
この「濡れないベランダ」でのひとときは、山々を眺めながらコーヒーを嗜む、至福の空間へと変わることでしょう。
この家に住む、ということ
この空き家は、単なる中古物件ではありません。
20代の若き設計士が夢見た「理想」と、大工の棟梁が注いだ「誇り」、
そして家族が過ごした「記憶」が何層にも重なった、タイムカプセルのような住居です。
一歩外に出れば、黒部の名水が湧き、少し足を延ばせば宇奈月温泉のトロッコ電車が走る。
そんな黒部の中心地で、歴史のバトンを受け取ってみませんか。
古き良きものを愛し、そこに自分の色を重ねていく。
この家での生活は、きっとあなたの人生に「心地よい重み」と、色褪せない「誇り」を与えてくれるはずです。
詳しい物件情報は
こちら▶https://www.kurobeiju.com/akiyabank/detail/deta9908/




