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-新旧の趣が混在する家- 物件No.220

2025/11/17 各種補助・助成

この物件は、築55年という歴史を刻みながら、現代の快適さを手に入れた稀有な空間です。
単なる「フルリフォーム」ではなく、家の歴史と記憶を大切に繋ぐという意思が、
空間の随所に息づいています。

廊下は深い木目と温かい光に包まれ、懐かしさを感じさせます。
これは、近年のリフォームにおいて、木目の美しい柱や壁をあえて残す判断がなされた結果です。
古材の持つ重厚な趣が、新しくなった内装の中に静かに存在し続けています。

 

共存する「新旧」のディテール
最も象徴的な「新旧の混在」は、開口部に見られます。

こちらの写真で垣間見える窓は、まさにこの家の哲学を体現しています。

築55年の古い窓サッシを撤去せず、
その内側に新しい高性能のサッシを設置し、二重窓として機能させています。
これにより、歴史的な外観の雰囲気を保ちつつ、現代の生活に不可欠な断熱性や気密性を確保しているのです。

和室ではこの対比がさらに鮮明です。足元に敷き詰められた”新しい畳”の清々しい香りと感触
それに対し、開口部を区切る襖は、昔ながらの風合いや建付けをそのまま残しています。
新しい機能(サッシ)と、残された歴史(襖)が隣り合い、程よい調和を生み出しています。

 

現代に蘇った機能美

浴室や、フローリングと和室が隣接する空間は、現代的な機能を取り入れながらも、
全体の木質感と馴染んでいます。

特に外観の外壁と通路は、モダンな白壁と無骨なコンクリートブロックが対比し、
日本の伝統的な『内と外の中間領域』に現代的なエッセンスを加えています。

 

この家は、古いものが持つ「趣」を単なるノスタルジーで終わらせず、新しい技術で「快適性」を補強することで、
”過去の良さ””現在の便利さ”が共存する理想的な空間を築き上げました。

それは、住まいの歴史を途切れさせることなく、次の世代へと繋いでいく、賢明な選択と言えるでしょう。