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クロベスト人物編 黒部市UIJターン 黒部で暮らす若きトップランナー [○○×わたし]

File No.03 デュアルライフ わたし

来た船に楽しく乗る

ファスナーメーカー 執行役員総務部長
小林 聖子さん

小林 聖子さん

群馬県出身の小林さんは、大学卒業後、東京本社で採用され、2000年9月から6年間、米国アトランタに勤務。帰国後は本社勤務を経て、2010年11月に製造拠点がある黒部市に転勤しました。同年、黒部商工会議所副会頭に就任(〜2016年10月)。2016年11月に東京に戻るも、コロナ禍の2020年6月から黒部市にも住まいを持ち、黒部と東京のデュアルライフ(二地域居住)を送っています。

仕事はひとりではできない

東京のメーカーに入社して穏やかに始まった小林さんの社会人生活。ところが、その5か月後の異動で役員の秘書となり、一変することになります。「毎日何が起こるかわからない『スリルとサスペンス』の連続でした。でも、それが面白かった!」と当時を振り返りながら、快活に笑います。
秘書の仕事はひとりでやることが多く、小林さんはいつの間にか仕事を抱え込むタイプになっていたそうです。その後、転勤した米国アトランタで一緒に働いた上司や同僚に『自分ひとりでできることには、限界がある』ことに気づかされ、周囲の力を借りて共に目標を達成する仕事の醍醐味を味わいました。総務部長という役職にある現在でもこの経験が活かされているそうです。
「一緒に仕事を進めるチームですから、こだわる視点やゴールの共有を心がけています。スタッフは皆、優秀で頼れる存在です。私ひとりでやるよりも、ずっと早く良いものができてくる。私の役割は、むしろスタッフがその能力を最大限に発揮できるよう、ヒントを与えたり、働きやすい環境を整えたりすること。」と話します。

インタビューを受けている能澤喬之さん・未菜さん

はじめての黒部ライフ

2010年、小林さんは黒部に転勤となります。「出張で何度も黒部に来ていたのですが、正直、こんな田舎(スミマセン)で生活していけるのかと不安でした。でも、どうせ行くならとことん楽しもうと思い、黒部だけでなく、富山県中の観光地や美味しいと評判のお店をめぐり、イベントやお祭りに積極的に参加しました。」
この経験を通して、小林さんは黒部や富山の歴史を知り、また人々の優しさに触れることとなります。「これほどまでに豊かな自然に恵まれた生活を楽しめるとは。美味しい海の幸、山の幸も黒部での生活を楽しめた大きな要因となりました。」
転勤と同時期、黒部商工会議所副会頭に就任したことも、黒部ライフの充実につながりました。北陸新幹線開業にあたって駅舎デザインの決定に携わったほか、商工会議所を通じてボランティア活動などにも幅広く取り組みました。新市庁舎や市民病院、そしてパッシブデザインの集合住宅群などの整備開発が進み、北陸新幹線開業に伴って、市全体が沸く様子に心が躍ったと言います。黒部との関係が深まることで、小林さんにとって黒部は勤務地以上の存在になっていきました。

デュアルライフでいいとこ取り

黒部で6年間の転勤生活を送った後、東京勤務に戻った小林さん。しかし、その4年後の2020年6月、黒部と東京でデュアルライフ(二地域居住)をスタートさせることを自ら決めます。きっかけは新型コロナウイルス感染拡大防止における同年4月の緊急事態宣言でした。宣言発出前に出張で黒部に来て以来、東京の住まいはそのままに、黒部にも住まいを持つ『コロナ疎開』を継続中です。「黒部で不動産開発の仕事を兼務しているので、黒部にいる方が実は仕事的にはスムース。東京では在宅勤務が基本だったため、東京を離れても問題は少ないだろうと判断し、会社に認めてもらいました。」黒部では感染予防対策を実施のうえ、出社もでき、感染者数も少ないことから安心して生活できるそうです。
デュアルライフの良さを『いいとこ取りで贅沢』だと楽しそうに語る小林さん。「フレンチやイタリアンの有名レストランに行きたければ東京で、美味しいお魚が食べたければ黒部で。黒部は演劇やコンサート、美術展などの催しは少ないかもしれない。でも、予約は取りやすいし、混雑もあまりないですから。温泉やゴルフなんて30分で行ける分、さらに別のことまで楽しめる余裕があります。東京だと行くだけで数時間はかかりますから。」
今では黒部のお母さんたちから『たけのこご飯 炊いたから取りに来っしゃい』と声がかかるほど、地域の方々との親交も深まっています。
「会社の仕事だけでは、ここまで黒部を楽しめなかったかも。10年前の転勤生活時代、地域の方々と触れ合う機会が多かったのが良かったと思います。」と黒部の人々の魅力を実感しています。「黒部にないものは東京で。人との温かい交流や新鮮な海の幸、山の幸を味わうなど東京では難しいことを黒部で楽しむ。いいとこ取りでとても贅沢な暮らしです。」

来た船に楽しく乗る!

小林さんによると、困難を乗り越えて目標を達成したときに、『働く喜び』を最も感じるそうです。
「働く環境や職務内容が変わるときには、父に言われた『サラリーマンは来た船に乗るべし』の言葉通り、チャンスと受け止めてきました。私自身、悩みや不安より、新しいことへのワクワク感が大きかった。」来た船に乗ると選んだのは自分だから、泣き言を言わずに楽しく働く―そう語りながら、あふれ出る好奇心に瞳を輝かせる小林さん。新しいことに挑戦し続けて、まるで『冒険家』のように仕事も人生も楽しむ姿は、実にアグレッシブで魅力的です。
「広報くろべ」の記事を読まれたお父様から、実はこの言葉はお父様がお祖父様から贈られたものだったと聞いて感慨深かったと仰っていました。

COLUMN

休日は旅行者気分で

私は会社を一歩出たら、仕事を引きずらないタイプなので、オンオフのメリハリをつけ、ワークライフバランスはとれている方だと思います。休日には名所旧跡を訪ねたり、地域のイベントやワークショップに参加したりしています。なかなか旅行者気分が抜けないですね(笑)
特に、ものづくり体験が好きで、これまで「富山もよう」の新聞のエコバッグ作りやパワーストーンで作るサンキャッチャーなどのワークショップなどに参加しました)富山の伝統工芸にも興味があり、井波の彫刻家に弟子入りする体験プログラムに参加したこともあります。3時間かけて、木彫りのスプーンを作ってきました。黒部や富山に対する興味は、まだまだ尽きません。

木彫りのスプーン

黒部への期待は何ですか?

黒部は、大自然に囲まれて、空気も水も、お米も海の幸も美味しいですよね。でも実は新幹線で東京から2時間半圏内には、そういった『田舎』はたくさんあります。競合と同じことを言っていても魅力的ではないのです。黒部には素敵なところがたくさんあり、地域の皆さんの『あたりまえ』は都会の人の『憧れ』ということもあります。奥ゆかしさは捨てて、ぜひ『おらがまち』をもっと自慢してほしいと思います。
そして、もうひとつ。移住定住促進を加速させるには、行政サービスの向上・充実が必須です。市役所の皆さん、頑張ってください!

能澤喬之さん・未菜さん
東京でも地域のイベントに積極的に参加
入社間もなく秘書についた役員と
(2019年神田祭)
トマトをガブリ!!
宇奈月モーツァルト音楽祭の受付ボランティアにて(後列左)