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クロベスト人物編 黒部市UIJターン 黒部で暮らす若きトップランナー [○○×わたし]

File No.01 農ライフ わたし

守り育て、未来へ

農業経営
野沢喬之さん・未菜さん

能澤喬之さん・未菜さん

8年前、おじいさんが遺した田んぼを20歳の未菜さんが1人で受け継ぎました。一緒に支えてあげたいと、県外からUターンした喬之さんがそこに加わり、地域のつながりを生かして、2020年2月に株式会社を設立。コシヒカリのほか、大豆・そば・人参・トマトを栽培。米は直播きと苗を組み合わせて長く収穫できる工夫をしています。

想いを受け継ぐ

「私が農業をすることになったのは、じいちゃんの壮大な作戦やったんかもしれません(笑)」と未菜さん。「じいちゃんが元気な時は、孫の私や妹に田んぼを手伝わせることはしなかったんです。それが亡くなる前に、農業をやってきた自分の人生のことを話してくれて…大きな苦労があったことも、その時に初めて知りました。それで『うちの田んぼを絶やすことはできない』と思ったんです。」と、田んぼを継いだ8年前を懐かしそうに振り返ります。

インタビューを受けている能澤喬之さん・未菜さん

喬之さんが未菜さんと出会ったのは、大手建設会社に勤務し、栃木に配属されていた時のこと。未菜さんは受け継いだ田んぼで、黒部で一人、奮闘していました。その姿を見て『自分も一緒に支えてあげたい』と思うようになったそうです。しかし、当時は大きな仕事を任されていたこともあり「自分のキャリアを途中で変えることに、迷いがありました。」と言います。それでも喬之さんは、農業を営みながら未菜さんと家族として黒部で生活することを決意。2017年春、Uターンし、未菜さんと結婚しました。「黒部市の農業を盛り上げていきたい」と喬之さんは、明るく朗らかな未菜さんのかたわらで、農業への意気込みを語りました。

ベテラン農家の「任せるわ」

夫婦二人三脚で始まった農業ライフ。農業はまったくの初心者だった喬之さんと未菜さんでしたが、互いに支え合い励まし合って二人で頑張ってきました。しかし、第一子が生まれると喬之さんがひとりで農作業をせざるを得ない場面が多くなっていきました。
個人経営の課題を痛感していた2020年2月、大きな変化が訪れました。ベテラン農家2軒とともに6人で農業法人を立ち上げることになったのです。喬之さんは26歳という若さでしたが、「代表は若い世代に任せるわ」との声に推され、社長に就任。「『任せるわ』の一言に、個人経営や都会での会社員時代にはない魅力を感じました。」

トラクターを運転する能澤喬之さん

法人化して初めて迎えた秋、収穫量も多く、生産性が上がったことを実感したとか。
「ベテラン農家がノウハウを惜しみなく教えてくれ、やりたいことを尊重してもらえる。休まざるを得ない時に仲間がいるのは、大きな安心感があります。また、会社にしたことで、やりたいことを自分のペースで追求できるようになった。本当に感謝しています。」と法人化のメリットを噛み締めています。

黒部の四季とともに

近年、若い世代を中心に地方移住への関心が高まり、また、豊かな自然と触れ合うことができる農業に憧れる人も多いようです。「今思えば、私たちは本当に農業のことを知らなかった。」と、未菜さんは当時を振り返ります。「すべてが新鮮だった。素直に農業は楽しいと感じて、そのままやってきたかな (笑)」
農業は年間を通して作業があります。喬之さんによると、春は土づくりに始まって、田植えや大豆の種まき、野菜類の植え付けなどが夏まで続きます。夏は田んぼの防除作業、秋は稲刈り。さらに大豆、蕎麦、ニンジン、黒豆といった露地ものに加えて、トマトなどのハウスものの収穫が続くそうです。雪が降る冬はさすがにお休みかと思いきや、「冬は農業機械を整備するための大切なシーズンです。」
個人経営から法人化して2年目。喬之さんは今できることを大切に取り組みたいと語ります。「まだまだ手探り。いずれは冬季にハウスを利用して何か栽培できないかを考えているところです。」

水と緑をつなぐ

2021年5月19日、村椿小学校5年生の児童が学習田で「コシヒカリ」の田植え体験を行いました。この取り組みは喬之さんがJAくろべ青壮年部として、子どもたちに農業の楽しさを知ってもらおうと実施したもの。子どもたちは裸足での手植え作業に歓声をあげ、間近で見る田植え機のスピードに驚いたり、見慣れない田植え機に乗ったりと、初めての体験に大喜びでした。
二人で農業を始めて4年、会社を設立して2年。黒部の美味しい食と未来を担う子どもたちのため、緑と水をいつくしみ、うるおいのあるまちづくりを実践する。注目の若き農業経営者です。

COLUMN

農業の楽しさ、おもしろさを知って

農業は自然を相手にする仕事なので、季節ごとにやらなくてはならない作業があります。休みがとりにくい印象があるかもしれませんが、法人化によって仲間と協力し合うことで、週に一度、休みが取れています。春と秋の繁忙期は少し難しいですが(笑) それに雨で作業ができない場合も休みなので、家族の時間は充実しています。2021年秋に3人目の子どもが生まれて、みんなでにぎやかな農ライフを送っていますよ。
農業は楽しいです!まったくの未経験からスタートした私たちだからこそ、そう伝えたい。農業の楽しさ、おもしろさをたくさんの人に知ってほしいと思います。

能澤喬之さん・未菜さん
みんなに、新鮮・安全・安心な食を届けたい
トマトをガブリ!!
採れたてトマトをガブリ!!