◆黒部市に出会うまで
【移住前のスイスの暮らしを教えてください】
スイスでは朝から夜までフルタイム勤務でした。家族4人が顔を合わせるのは自宅ではなく、ヴィンセントさんと子どもたちが通っていた剣道場でした。そのため家族が一緒に過ごす時間はどうしても限られていました。
【移住を考え始めたきっかけは何ですか】
「いつか日本でも暮らしてみたい」
その思いは以前からありました。日本で暮らすことは、子どもたちにとって将来の選択肢を広げると感じていました。
そして、コロナ禍のロックダウン。早朝にまだ幼い子どもたちを連れて公園に行くたび、「庭のある家でのびのび暮らしたい」という思いが強くなりました。
スイス国内、隣国フランス、そして華代さんの実家がある埼玉県——いくつかの地域を比較しながら、移住の可能性を検討し始めました。
【なぜ黒部市を選んだのですか】
日本人である華代さんの仕事を考えると、華代さんが希望する仕事を見つけられると考え、日本各地を旅しながら移住先を探すことにしました。
黒部市を訪れた際、
・東京から北陸新幹線で約2時間半というアクセスの良さ
・市の中心地から海も山も温泉も車で15分圏内でそろうコンパクトな自然環境
この“ちょうど良さ”に魅了されました。
◆いざ、黒部へ〜黒部に住むまで
【理想の家との出会い】
移住3年前
物件情報サイトをスイスでチェックしていた際、黒部市内で立地も条件も理想的な物件を発見しました。「これは逃せない」と、その場で購入を決めました。
移住までは、仕事・学校・剣道など必要な準備をリスト化し、具体的なプランを立てながら何より子どもたちの気持ちを大事にし、慎重に進めました。
【黒部市をお試し(子どもたちの心の準備)】
移住2年前
子どもたちの転入予定の小学校で2週間の体験入学を経験。先生方や職員の方が温かく迎えてくれました。不動産屋さんも近所への挨拶をサポートしてくれたため、地域の方たちとの交流もスムーズに進み、受け入れてもらえました。また黒部市錬成館の剣道の稽古にも参加し、子どもたちは学校や道場で友達ができ、手紙のやり取りも始まりました。
翌年の夏も、日本を訪れ、黒部の小学校に再び体験入学や剣道の稽古に参加、海や山のアクティビティにも積極的に参加しました。子どもたちは、「日本に行くのが楽しみ!」と言うようになりました。
【いざ、黒部へ】
長女の中学進学のタイミングも考慮し、家族4人が納得の上で2025年6月に移住を実現しました。何よりも「子どもの心の準備」を大切にし、黒部での楽しい思い出を積み重ねながら家族で会話を重ねてきたことが、新しい暮らしに進む力となりました。
◆黒部の生活を満喫
【黒部での生活について教えてください】
子どもたちは、6月からすぐに小学校に転入し、ヴィンセントさんもスイスでのお仕事を引き続きリモートで開始。朝6時に起きて家族でフランス語の勉強をしてから、一日をスタートしています。勤務時間はスイス時代の6割程度ですが、自宅で集中して効率的に働けるため支障はなく、午前中は家族と一緒に過ごすゆとりが生まれました。
【黒部の良い点を教えてください】
黒部は「田舎すぎず都会すぎず、ちょうどよい」まち。
スイスでは渋滞や駐車場探しが大変で外出が一苦労でしたが、黒部ではそれらのストレスなく出かけられます。
例えば、朝は海で遊び、午後は山へ行く…そんな生活が日常になります。
子どもたちは、ものづくりが大好きで、ワークショップやアクティビティに大満足しています。
黒部は「アクティブタウン」です。素敵なワークショップがたくさんありますが、参加人数が少ないことが少し心配です。黒部の子どもたちにももっとワークショップに参加して欲しいと思います。
◆これから移住を考える方へー
私たちが移住を実現できたのは、家族全員が「ここで暮らしたい」と思えるようにしっかり準備したことです。
・黒部でのお試し滞在
・学校への体験入学
・習い事や友達づくり
もし親だけが決めていたら、子どもにとって、スイスを離れる不安や寂しさの方が大きかったと思います。けれど家族みんなで黒部への移住を決めたからこそ、新しい生活を前向きにスタートできました。
これから移住を考える方に伝えたいことは―― 「家族一人ひとりの気持ちを大切にすること」 そのうえで、学校・仕事・生活環境の準備を丁寧に進めることが、移住後の豊かな暮らしにつながると実感しています。


